こんにちは東京都中央区日本橋人形町にある
人形町駅前クロス歯科・矯正歯科の歯科助手です。
今日は歯周治療についてお話していきます。
歯や口腔の健康を保つこと
単に食物を咀嚼し栄養を摂取するだけでなく、食事や会話や会話を楽しむなど生涯にわたって豊かな生活を送るための基礎となります。
う蝕および歯周病を主とする歯科疾患は、その発症、進行により歯が喪失して口腔機能の障害を引き起こし、歯や口腔の健康に影響を及ぼすのみならず、全身の健康や日常生活にも影響を及ぼします。
よく噛めることは、生活の質および日常生活活動が高く、運動・視聴覚機能が優れていることが明らかになっています。
「8020運動」
歯の喪失に関する対策の一つとして「8020運動」が提唱・推進されています。
ご存じの方も多いのではないのでしょうか。
「8020運動」とは、生涯を通じて自分の歯で好きなものをおいしく食べ、生き生きとした会話や笑顔を持ち続けるために、80歳になっても20本以上の自分の歯を保とうとする運動です。
この運動が始まったころは、80歳で20本以上の自分の歯を保てている方が10%にも満たなかったですが、2016年の調査では50%(2人に1人)になりました。
今後、達成者を60%にするため新たな目標が掲げられています。
この歯の喪失ですが、一番の原因が歯周病によるもので41.8%と最も多いです。
歯周病は、永久歯の喪失の主な原因であることから、成人前期から高齢者にかけて生涯にわたる歯周病予防及び治療対策が不可欠となります。
歯周治療の歴史的変遷
歯周病は、世界のあらゆる地域あるいは人種にも蔓延している発症率の高い疾患です。
歯周病の発生は有史以前にまで遡るといわれています。
歴史的にみると、紀元前2,500年の中国における最古の医学書『黄帝内経』に口腔疾患を風邪(炎症)、牙疳(歯の周囲軟組織疾患)、虫牙(う蝕)の3つに分類した記載や、エジプト人の残した『エビルスパピルス』には、歯周病の症状や動揺歯(グラグラした歯)の固定法など治療について詳細に記されていることから、古来より歯周病は存在したと考えられています。
歯周病の原因がよくわからなかった20世紀の中頃までは、歯周病の諸症状を改善するために歯周外科手術を主体とする治療がなされていましたが、対処療法の域を出ていないことから、再発することも多く歯周病の治療は困難で「不治の疾患」であるとの誤解を招く結果となっておりました。
1960年代になって、歯周病の原因がプラーク(歯垢)中の細菌であることが証明され、さらに歯周病の成り立ちも解明されました。
その結果、歯周病の予防法や治療法が体系関係づけられ、原因除去療法を主体とした、現在の歯周治療の基盤が確立されました。
すなわち、歯周病の原因であるプラークや外傷性因子を除去することで、歯周病の病変を改善し、その進行を防止することが可能になりました。
従来は歯周病の罹患部位を除去する切除療法が主体でしたが、近年では喪失した歯周組織をより歯冠側方向に治癒させる組織再生誘導法やエムドゲインなどの生体材料を用いた再生療法が臨床で頻用されるようになってきました。
さらに、歯周病は単に口腔局所の感染症であるだけでなく、歯周病原細菌が遠隔臓器に影響を及ぼし全身疾患の原因となりえる慢性炎症として理解されるようになりました。
したがって、歯周治療を適切に行うことで、それらの全身疾患の発症を予防したり、諸症状を改善できる可能性も証明されつつあります。
歯周病の原因について
プラークリテンションファクター(プラーク蓄積因子)
歯周病の原因の1つであるプラークについて、以下の因子が存在するとプラークの蓄積量が増加し、炎症が亢進します。
そのような因子をプラークリテンションファクターといいます。
1.歯石
歯石は表面が粗造であるため、プラークが付着しやすくなります。
歯石はその付着部位によって、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石に大別されます。
歯肉縁上歯石は、歯肉辺縁より歯冠側に付着したものをいい、唾液成分由来で石灰化しているため白色から黄白色を呈しています。
歯肉縁下歯石は、歯肉辺縁より根尖側の歯肉溝あるいは歯周ポケット内の歯面に付着したものをいい、血液成分由来で石灰化しているため褐色から黒色に近い色を呈しています。
歯石は重要なプラークリテンションファクターであり、歯周治療の成否にはその確実な除去が重要となります。
2.う蝕(虫歯)
辺縁歯肉付近にう蝕が存在すると、う窩およびその辺縁部にプラークが蓄積し、歯肉炎や歯周病を発症・進行させることがあります。
プラークコントロールを向上させるためには、歯周基本治療中にう蝕治療の実施が必要となります。
3.辺縁不適合な修復処置・補綴物
不適合部位にプラークが蓄積しやすく、重要なプラークリテンションファクターとなりやすいです。歯周基本治療中に削合によって辺縁の適合性を改善する、あるいは暫間被覆冠(仮歯)へ置き換えるなどの処置によってその影響を取り除く必要があります。
4.口呼吸
口呼吸の患者様では、上顎前歯部などの局所が乾燥状態に陥り、自浄作用(唾液によってプラークを洗い流す)が低下しプラークの蓄積量が増加していることが多いです。
口呼吸の原因を探り、矯正治療、口唇閉鎖訓練、オーラルスクリーンなどによって、症状の改善を図ることが望ましいです。
5.咬合異常・歯列不正
咬合異常・歯列不正があると、自浄作用(唾液によってプラークを洗い流す)が低下し、また歯ブラシなどの口腔清掃用具が当たりにくい部位があるため、プラークコントロールが難しくなります。
歯周治療終了後に補綴治療や矯正治療によって改善を図ることが望ましいです。
6.歯周ポケット
特に深い歯周ポケットにおいては、歯ブラシなどの口腔清掃用具がポケットの深い位置まで到達せず、プラークが停滞しやすくなります。
また、深い歯周ポケットの底部では酸素分圧が下がり、歯周病原細菌に多い嫌気性菌(増殖に酸素を必要としない細菌)の数および割合が増加します。
深い歯周ポケットに対しては、歯周外科治療などを含めた適切な歯周治療を行うことによって正常な深さの歯肉溝(1~2mm)を回復し、患者様自身によるプラークコントロールができるように治療を行います。
7.根分岐部病変
歯の根っこが複数根ある大臼歯(奥歯)の根分岐部(歯の根っこの分かれ目)は歯肉と歯の成す形態が複雑であり、プラークが停滞しやすいです。
8.歯の形態異常
歯の形態異常もプラークリテンションファクターとして働くので、口腔清掃の際に十分注意してブラッシングをすることが重要です。
また、改善されない場合には、削合などのよって形態修正を行うことがあります。
外傷性の因子
歯および歯周組織に外傷力となり障害を与える因子のことです。
1.咬合性外傷
歯周炎に罹患している歯に咬合性外傷が加わると、歯周組織破壊が増強されます。
その場合は、咬合調整に続いてプラークコントロールを中心とする歯周治療を行います。
2.ブラキシズム
咀嚼時以外に上下の歯が長時間接触している状態として、歯ぎしり(グラインディング)、くいしばり(クレンチング)、カチカチと音をさせる(タッピング)などの習癖状態があることをいいます。
それらは、歯周組織に対して咬合性外傷として作用することが多いため、悪習癖(ブラキシズム)とよばれます。
ブラキシズムの原因は正確には解明されていませんが、精神的ストレスなどの関与が大きいとされています。ブラキシズムの治療には、症状に応じて咬合調整、マウスピースの装着などが行われます。
3.職業的習慣
職業上の理由によって、日常的に歯と歯の間に物を挟んで噛む、歯でものを割く、歯を強く食いしばるなどの習癖は、歯周組織に対して外傷力として働くことがあります。
人形町駅前クロス歯科・矯正歯科では歯周基本治療のほか、組織再生誘導法やエムドゲインなどの生体材料を用いた外科的再生療法も行っております。
歯周基本検査から細かな歯石取り、歯ブラシ指導を行った上で再度歯周精密検査を行い、患者様に合う治療法を行っております。
保険診療だと来院回数が多くかかって行くのが億劫な方や、しっかりとしたスキルを持った歯科衛生士による口腔ケアを受けたい方には自由診療にて受けられる治療法もございます。
歯周病でお悩みの方は是非ご相談ください。